リリと魔法の王国
「二人とも、もとの世界に帰りたいなら帰してあげよう。
そのかわり、この世界を出れば…、
不思議な魔法によって、美しい者がより美しく
醜い者がより醜い姿へと変わってしまうよ。
…それでもいいのかい?」
―――――!!!
「美しい者がより美しくですって!?
ただでさえ美しい私が、これ以上美しくなったら…
世界中の誰もがほうっておかないわ!」
エルザはフフンと笑ってみせました。
一方、リリは思いました。
自分は、けして美しいわけじゃない。
顔の汚れはアザのようになっているし、鼻だって低い。
こんな自分がもとの世界へ帰れば、さぞ醜い姿になるだろうと…。
しかし…、
どんなに醜い姿になろうと、
たとえアンが自分に気付かなかったとしても、
リリはアンに会いたかったのです。
「お願い。私たちをもとの世界へ戻してちょうだい。」
リリは覚悟を決めました。