hiding

our distance

おかしな約束事が1つ決められた。それは、曜日制で私と一緒に帰る人の事。

月:私1人
火:菜々子
水:小日向君
木:緋山君
金:雨森君

菜々子はわかるけど、だいたい男子3人は帰る方向真逆だ。と言うか何で…

「何で、1人ずつなの?皆で一緒に帰ろうよ」

正直、毎日菜々子と帰りたい。キラキラ人間と2人きりなんて自殺行為だ。新手のいじめですかこれは。

「男心よ」
「菜々子は女でしょ」
「やるときゃやんのよ」
「それどういうこと?」

はぁぁ。毎日月曜と火曜の繰り返しだったら良いのに。と言うか、菜々子を交えた男同士の戦いに、私を巻き込まないでー!!

今日は……月曜日だ。寄り道でもしていこうかな。

放課後、私は予定通り寄り道していく事にした。出来るだけ家に遅く帰りたかった。

行くあては決めていなかったが、気付くと桜並木の河川敷に着いた。花はもう散っていたが悠然と立ち並ぶ葉桜も清々しくて綺麗だ。

私は草原に適当に座って川を眺めた。少し朱に染まり始めた空が水面に映っている。波が揺らめく度に川はキラキラ光った。

「ふぁぁぁぁ…」

あ…ヤバい。眠気が…。

瞼の重さに耐えきれず、とうとう目を閉じてしまった。良いよね、1時間だけ…。

私はいとも簡単に眠りに引きずり込まれた。
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