青蝶夢 *Ⅰ*
穏やかな朝の時間は過ぎて行く

顔を洗い、ボサボサの髪を
後ろで結ぶ。

化粧水はもちろん、リップも
櫛も、洋服も何も無い。

何も無い。

私は、全てを捨てて出て来た。

伊吹さんに借りた服を脱いで
私はまた、制服を身に纏う。

ブレザーのポケットに、手を
入れると携帯電話に触れる。

母と話した後、また母からの
着信を受けることの煩わしさ
から、電源を切ったままの
携帯電話。

私は、その存在にすら
今まで、気づかずに
忘れていた。

毎日、毎日、あんなにも
手放せなかった携帯電話が
今の私には、とっても
無意味な物に見えた。




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