伝えたい事がある

「んふふ。」


気持ち悪い笑い方が聞こえたからリナの方を見てみるとあたしが苦手なリナがいた。満足そうな、勝ち誇った様な顔のリナだ。


「じゃあよろしく!いつものクレープ屋がいいなあー。」


…やられた。またやられた。対してノートのことは怒ってなかったくせに。くっそう。


「クレープが目的なんでしょ?」

「むふふふ。」

「別にいいんだけどね。約束を守らなかったのはあたしだし。クレープくらい奢るって。」


幸いあたしは大学生にもなってクレープ1つでケチるくらい貧乏学生ではないし。リナもそれはわかってるんだろうけど。


「ありがとー。ところで、用事って池谷先輩だったみたいね。」

「見てたの?」

「まあね。相変わらずかっこいいー。爽やかだよね。んもーなんか人柄の良さがにじみ出てるっていうか、オーラがそこら辺の男とは違うっていうかさあ。スクランブル交差点の人込みの中でも楽々見つけられちゃう様な…。」


明らかにそれは言い過ぎだと思うけど…。


「わたしもあんな彼氏ほっしいー。アヤさん羨ましいなあ。」


マシンガントークにはもう慣れたけど、相変わらず良く噛まないな。と感心する。

兎に角あの「んふふ」にはクレープの他にも池谷先輩の事も混ざってた訳だ。リナは本当に恋バナが好きだ。


「…どうでもいいけどさあ。テスト、いいの?」


あたしが頬杖をつきながら言うと、リナは思い出したみたいで、またノートと睨めっこを始めた。
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