黒紅花
私は咄嗟に、ひさぎを退けた

愛に溢れていた
ついさっきまでの

二人の時間

その全てが嘘のように・・・

私は、心を鎖して
ひさぎから距離を取る。

私に触れようと伸ばした手
を貴方は引っ込めた。

祖母の元へ向かう、私。

「チトセ、あなた・・・」

「おばあちゃん
 心配しないで
 何でもないの
 何でも・・・無い」

私の口から出た言葉

何でも無い・・・

「そう、おかえりなさい
 遅かったのね
 
 お友達が
 送ってくださったの
 ありがとう

 そうだわ
 お茶でもどうぞ・・・」

ひさぎを見つめる私の瞳。
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