黒紅花
「うん、大丈夫だよ、ありがとう
 
 ひさぎがこうしておばあちゃん家の
 近くに家を借りてくれて、本当
 助かってる、感謝してるよ」

「それを言うなら俺のほうこそ
 チトセのおばあちゃんの手料理
 いつも食べさせてもらえて在り難い」

「ひじきの煮物なんて好きなの
 ひさぎぐらいだよ

 ひさぎとひじきって何か似てる」


隣で着替えを持って立つ私の首を両手で優しく絞めるのは、ひさぎ。


「似てねえよ」

「ふふっ」


じゃれ合うその手を解いたひさぎは次に、私の体をそっと後ろから優しく抱きしめる。


「本当にありがとう
 
 前の家、職場の近くだったのに……」

「いいって

 でも家のこと何もかもお前に
 任せきりで悪いと思ってる」

「何言ってるの
 それは当たり前のことだよ
 私だってこの家の住人なんだもの」
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