黒紅花
先輩の隣には、綺麗な
女の人・・・

あなたは、もう
忘れてしまったのね。

ひどい、父親・・・

ううん、違う

忘れたのは、私
ひどいのは、私も同じだ。

あなたから見れば、ひさぎと
付き合っている私も同類。

ひどい、母親・・・

失くした命が
泣いているような
気がした。

私は、過去からきっと
抜け出せない・・・

ひさぎと繋ぐ手を、私は
解いてしまった。

「チトセ・・・?」

ひさぎを見つめて、私は呟く

「ごめんなさい

 ごめんね」
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