堕天使の銃声
本部へ帰還すると、休む間もなく、総司令官に呼び出された。
「失礼致します。」
扉の前でそう言うと、返事が返ってくる。
「入りたまえ。」
中に入ると、薄暗い部屋で、開いたパソコンをいじりながら、何か仕事をしている男がいた。
彼が、私の上司であり、私の唯一の肉親。
高崎 涼。
その名前のとおり、かつて兄と呼んだその男は、今は冷徹な表情を浮かべて仕事をこなす、鬼と呼ばれていた。
「ただいま任務より帰還致しました。
現場の指揮は、現在は杉浦准尉が執っています。」
「ああ、存じている。」
短く答えた涼は、私と目を合わせず、パソコンの画面に目をやったまま、何か書類を差し出した。
「察しているはずだろう?新しい任務だ。」
それを受け取り、内容に簡単に目を通す。
「今回は、現時点での目標は、まだ定まっていない。
だがしかし、その目標は将来、我々の存在を脅かす、脅威的な存在になる可能性が高い。
よって、高崎中佐に、その任務を任せる。」
「了解しました。」