堕天使の銃声
その男の胸元には、組織のシンボルマークがあった。
(言っていることは本当みたいね…)
少し怪しく思った私だったが、それを見て、信用することにした。
「…乗って。」
野田と葛城にそう促し、私は助手席に乗り込んだ。
野田、葛城、坂本、私、そして本部の従者を乗せた車は、本部へ向かって発進した。
そして、それから気が付いた。
「後始末は終わったみたいね………杉浦准尉?」
「…あなたのお陰ですよ。
大してやることもなかったのに、後は任せた、なんて仰られるから、何があるのかと思って向かってみれば…」
「悪かったわね、仕事が早くて。」
燕尾服を着て私たちを迎えに来たのは、杉浦 巽准尉。
私が組織内で最も信用を置く部下で、行動を共にすることが多い。
良く言えば、良い部下。
悪く言えば、生意気な口を叩くパシリ。
そんな人物だ。
話を聞けば、先の任務で現場の後始末を任された杉浦准尉は、現場に足を踏み入れたは良いものの、後始末と呼べるような作業は残っておらず、一時間もしないうちに引き上げ、次の任務を待っていたらしい。
するとそこへ、総司令直々に命令され、今現状に至るらしい。
「…苦労するわね、ずいぶん。」