堕天使の銃声
SIDE: Sakamoto


あいつに… 憐に背負われて連れてこられたのは、初めてくる病院みたいな場所だった。


中にいる医師に、憐は俺のことを任せ、部屋を出ていく。


ナイフで刺された傷の手当てを受けながら、あることに思い至った。

(野田と葛城は、どうしてるだろうな…)

学校の保健室で意識を失ってしまった俺。


その後どうなったのか、詳しくは俺は知らない。


どうしてこんなところにいるのかも、どうして憐が俺を背負っていたのかも、ここがどこなのかも。


(ったく… どうなってやがるんだか…)


そんなことを思っていると、ふと、医師の白衣の胸元に目が行った。

その白衣についていたのは、まるで魔法陣を描いたかのような、あの秘密組織のバッジ。


(…そうか…

もうここは、あの組織の本部か…)


意外と冷静な自分に驚きながらも、先のことを考える。



(脱出したいところだが、あいつらを置いてくわけにもいかねェし、かといって、ここで突っ立ってても医務室に逆戻りだろうしな…)




そう考えて至った結論は…












俺は、少し離れた場所にあったエレベーターに乗り、最上階の“総司令官室”へ足を向けた。




(高崎… すべて吐かせてやる。)


そう、心に決めながら。


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