魅惑★ladyの作り方


その事に気付いた医院長がはぁ、とため息を吐くと華楠の肩がビクッと揺れた。


「いや…
この顔は生まれつきだ、君に対して怒っているとかいうわけではないから…
そう怯えないでくれ」

『ごっ、ごめんなさい…!
私、その、眼鏡を…!』


華楠が起き上がろうとすると医院長が手で止め、机の上に置いていた眼鏡を渡した。


「服などはボロボロだったが眼鏡だけは守ったみたいだな…
何か思い入れでも?」

『…これが無いと落ち着かないんです』


カルテを見ていた医院長は驚いて華楠を見た。
眼鏡を掛けただけで声の弱々しさが抜け、凛々しさが出たのだ。



「…眼鏡が無いと落ち着かないというのは、過去になにかあったからか?」

『!』


医院長が勘で言ってみると華楠の目が見開いた。


「…話してくれないか?
医者として、何か言えるかもしれない。」

『い、いえ…
そんな大袈裟な事じゃないんです』

「いや、入院するにあたって知れる事は知っておきたいんだ。
患者の力になれるならなりたい。
…医者の思いだ。」


華楠は医院長の真剣な雰囲気を感じ、ベッドから起きて恐る恐る眼鏡を外し、全てを語った。

医院長が口を挟まず聞いてくれるため、華楠はスラスラと言いたくない虐めの事やレイプ未遂のことなど…

時には涙を流しながらもきちんと自分の口で話した。
医院長は華楠の隣に座り、体を支え、背中を撫でながら静かに頷いて聞いていた。


 
 
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