魅惑★ladyの作り方
医院長は少し緊張したような、いつもの仏頂面でコンコン、と小さく病室をノックした。
「はーい、どうぞー」
中から未来の声が聞こえると医院長は意を決したように扉を開いた。
「華楠お姉ちゃ…あ、れ?
お父さん…?」
「…失礼する。
他の医師達から説明があったと思うが、今日から結城さんが退院するまでの少しの間は同室になってもらう。
質問は?」
「あ、何もないです…」
医者として言う事を言い終わった医院長は、今まで置いていなかった場所にある華楠用に持ってこさせたベッドの前まで車椅子を押す。
華楠がじっと見上げていると気まずそうに目を逸らし、華楠を車椅子から優しく抱き上げてベッドに座らせた。
『わ…
有難うございます、わざわざ』
「いや、お大事に…」
『じゃ、ないですよね?』
クルッと半回転して出て行こうとした医院長の服を軽く掴むと医院長は華楠の方に目を向けて物凄いしかめっ面をした。
が、眼鏡をかけている華楠にはそんなもの通じず、ただその戸惑っている雰囲気だけが届いていた。