紅龍 ―1―
「蘭―…?」
保健室の外から中を覗き込む形で蘭の名前を呼ぶ。
案の定、保健室からは蘭のスースーという寝息だけが聞こえるだけだった。蘭は寝ているらしい。
シャッと開く保健室のカーテン。
何で音なるんだよ。
蘭が起きるじゃん!!!!
そんな事に怒る俺は世間で言う"シスコン"なんだろうか?
でも、別にそれでもいい。
蘭は俺にとって大事な妹だから。
だから、蘭の過去について知りたい。
蘭の抱えているものを少しでも少なくしてやりたいんだ―…。