戦国に埋もれし儚き恋

<side 沙菜>

『…李由姫様ッ?!』

お庭の塀の壁に座り込んでもたれながら目を瞑り……切なげな笑みを浮かべながら何やら壁に向かって話されて居られる姫様を見て動揺する。

ゆっくりと目を開けて、立ち上がり何かを呟いてから…私に目を向ける姫様の御姿は哀愁が漂って儚げで消えしまいそうで恐ろしくなってしまいました。



『李由姫様ッ! 何故、そのような場所で?!』

裸足で庭に降りて駆け寄ると、姫様はユルリと右手の人差し指を立てて口元によせるのです。

私は姫様の言う通りに口を閉じ…姫様を部屋の中にお連れすると、
幼き子供のように声も出さずに大きな目からポロポロと涙を御流しになりました。

『ひ、め…さま』

私は姫様を抱き締めることしか……

ただ、
声を殺し泣く姫様を抱き締めることしか出来ませんでした。



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