ペットだなんて、言わないで

「その時の渉さんがね、見た事ない顔をしてたの。すっごく優しい顔でその子を支えてあげたりしてて……」


 具合、悪かったからな。


「それで敵わないって思ったけど、負けたくなかったんだ」

「え?」

「こないだ食事に行ったでしょ? ほら、隠れ家っぽいパスタ! あの日、渉さんが断ろうとしてたの知ってたんだ」



 何を言ってる?



 ――多分、頭の中がグルグルしてて、俺の目泳いでたかも。


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