声恋 〜せいれん〜




ぼうっとして歩いてたら…




足がガクン! ってなって…




「きゃあっ!!」




思いっきり後ろに倒れ…なかった。




蓮也さんが、そこにいてくれたから。




見上げたら、やさしい目をした蓮也さんが、わたしを見つめていた。




…もしかして、こうなると予測していて、ずっと見ていてくれたのかな…。




お店に入ってから、ずっと…。




「この場所にその靴は…似合わないな」




「えへへ…」




蓮也さんが見守っててくれたのがうれしくて、だけどちょっとだけ恥ずかしくて…彼の胸に寄りかかりながら笑っちゃった。




蓮也さんの胸は…とっても、あったかかった。




そのあともお店にいる間ずっと、彼はわたしをそっと支えながら案内してくれた。




蓮也さんに見つめられて、胸がきゅうんって鳴るたびに、ぎゅうって、もっといっぱいくっついた。




こんなに近くに、あなたがいる…。




とても安心する。



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