声恋 〜せいれん〜




「あれーっ?! 陽菜、陽菜じゃーん!!」




ずいぶんききなれた、なつかしい声で呼ばれたと思ったら…。




シャープなアシメのショートでさっそうと登場したのは、おなじ中学の陸上で棒高跳びをやってた2コ上の西原歩実(にしはらあゆみ)先輩だった。




「アレッー、あゆ先輩じゃないっすかーっ! なんでこんなところにいるんですかー?!」




「それはこっちのセリフだよ~、あんたなに? ダンスやってんの? うちの学校の生徒だったの?」




「へ?! 学校?」




「あれ、そうか、あんたエキストラか、そうだよね、ダンスやってたなんて話きいてないもんな~。ていうかあんたまだ三年か!」




「そうですよ~、ていうか先輩、ちょっと見ない間になんかますますカッコ良くなってますね~。うちの部でも女子人気ナンバーワンでしたからね~」




「いいって、その話はさぁ~」




指先でちょいと頭を小づかれる。うう、なつかしいなぁ、この感じ。




「あ、先輩ダンスの学校行くって言ってましたよね。あ~、それで蓮也さんとのこの撮影に呼ばれたってわけですね」




「ああ、あの人の事務所、うちの学校の声優学科とつながりあるから。そこでライブとかでもうちらの科からバックダンサー借り出されるんだよね。ま、あたしはまだ在学中だけど、運よくオーデション受かってね…って、あんたは? あんたもエキストラのオーデション受けたの?」

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