声恋 〜せいれん〜
フッと笑った蓮也さんが、そっと手で頬の涙をぬぐってくれる。
「怖いのも、緊張しているのも、オレもいっしょだ」
「うそ…蓮也さんが? だってこれまでこういうこと、たくさんしてきたんでしょ」
うわ、なに言ってんだろ、わたし。こんなヤなこと言うはずじゃなかったのに…。
「…それはまあ、否定はしないけどな。でも…なんだろ、お前とは、違うんだ。お前をやさしくあつかえるか、お前を怖がらせずに触れられるか、緊張する。こんな気持ち、いままではなかった。お前の恐怖が、緊張感がつたわるよ…お前といっしょで、すげー心臓バクバクいってる」
そう言ってやさしくほほ笑む蓮也さん…。
涙がまた頬をつたって胸に落ち、こわばった身体がその感触で少しずつほどけてく。
「ほら」
そう言って蓮也さんがわたしの手をとって自分の胸にあてる。
「…ほら、すげードキドキいってるだろ」
はじめて触れる蓮也さんの肌に、わたしの鼓動はどんどん速くなっていった。わたしと同じように、蓮也さんの鼓動も速かった。
「…ほんとだ…それに、すごく熱い」
わたしの手から彼の体温がじかにつたわる。わたしはそのまま両腕を蓮也さんの背中にまわす。
ふたりの体温が、重なった。