声恋 〜せいれん〜
優一くんは他県の大学に行き、連絡も全然とっていない。
気にならないわけじゃないけど…。
「これからも、友達だよね」
春にいわれた言葉が、今も耳にのこる。
一人の友達がとおくにかすんでしまった。
優一くんは、千夏ちゃんと同じ大学で、二人はつきあってるんだから、メールしちゃ悪い。
だいいち、もうわたしには優一くんにメールする必要がない。どうしてるか気になるから、なんとなくさびしいから、って自分勝手な理由で連絡したらダメだ。
それに…わたしが今声を届ける相手は、優一くんではないのだ。
未来の、わたしの声を聞いてくれる人たちと…応援してくれた、あの人のために…。