声恋 〜せいれん〜
家族と離れ、春からこの新しい専門学校に通っている。
はじめての一人暮らし。今までお父さんにお願いしてたことも、お母さんにやってもらってたことも、全部自分でやらなくてはいけない。弟の暁人にも会えなくなって、最初はすごくさびしかった。家族のあたたかさがよくわかった。
なんとか一人暮らしにも慣れたけど、授業もすごく大変だ。
基礎の発声練習、呼吸法から滑舌やアクセントなど、より良い声を出すためのレッスン。
演技力をつけるために、いろいろな演技指導もある。演技の訓練をしたり、戯曲や脚本を読み込んで読解力をつけたり。
殺陣、ダンス、日本舞踊など、身体を作る目的のほかに表現力やリズム感を養うためにも必要なものもある。身体を動かすのは好きだから、これは楽しい。
プロの先生が実際のアフレコの指導をしてくださり、スタジオワークの勉強もしたり。
それにボイストレーニング。今までただ好きなように歌ってきた歌も、きちんと訓練を積むことでグッといい音で表現することができる。
こうして同じ目的の人が集まる場所に来てみると、ほんとうに自分の存在がちっぽけに見える。
優一くんや蓮也さんにほめられていたころの自分は、ほんと何も知らない、子どもだったんだなって思う。