声恋 〜せいれん〜




「おーっ!! そうだ! にいちゃんサッカー見るんだな! おれと父ちゃんが見てるといっつも母ちゃんと姉ちゃん文句言うんだぜ!」




「だってルールわかんないんだもん」




「教えるよ…簡単だし。戦術とか、チームや個人の歴史もわかったほうが、もっと面白く見れるんだけどね」




「男の子ってそういうの好きだよねー。ゲームでもそうだけど戦術だとか、背景とか歴史とか、むずかしくてよくわかんないよー」




「女性はあんまりそういうの興味ないよね」




「ねーちゃん一緒に見ててもイケメンの選手が出てる方を応援するんだぜ。そーいうのって彼氏から見たら一番ムカつくんだろ?」




「暁人ってばうるさいよっ!」




彼氏って…。




あ、優一くん、少しも動揺いたしません。冷静そのものです。




ちょっとくらい反応してくれてもいいのにー。




「うん…そうだね、でも嫌いなものを無理に押しつけてもしょうがないしね。好きにならなくても認めてくれるだけでも、うれしいもんだけど」




好きな人のものを、認める…。




「ルールがわかったら、もっと面白いかな。教えてくれるの?」




好きな人の好きなものだったら




認めてあげられるし




きっと好きになれると思う。




その方がずっと楽しいよね。




わたしの好きなものも…




認めてもらえるかな?



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