声恋 〜せいれん〜
「さ、どうぞ…」
部屋のドアを開けて、優一くんをわたしの世界に誘う。
自分の部屋を見られるのって、自分の頭の中を見られるようで、なんだか脳がむずむずする。
「へえ…」
優一くんからもれた声が甘~く色づいてたから、よし! っておもわず心の中で叫んじゃった。
「…なんだか…桜木さんの匂いがする」
その言葉を聞いたら、なんだかおかしくて吹きだしちゃった。
「ふふっ、なにそのわたしみたいな匂いって。そんなへんな匂いしてるかな~?」
笑いながら自分の手をクンクンしてみる。
「いや…そういうんじゃなくて…」
きゅうに優一くんがわたしに顔を近づけてきた。
「きゃっ…」
「あ…ごめん…」
「あ…ううん、」
「…」
「…」
ちょっと、やだ、なにこれ…沈黙がくすぐったいよ。