声恋 〜せいれん〜




ライブが終わったあとの楽屋で見た蓮也さんは、疲れているというよりはとても弱っているように見えた。




でもゆがんではいない。




どこか達成感のようなものもみえた。彼には音楽がなによりのよりどころとなっているのだろう。




いずれまた声優の仕事にも戻れるかもしれない。今はまだ、つらいようだが。




彼女と同じ世界へ、戻るのが。




その後の打ち合わせのある蓮也さんを残して、ぼくと塔子さんは歩いて駅まで向かった。




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