彼と私と隣の彼
場所を変えよう
そう言った春人について、あたしが向かったのは第二校舎にある図書室。
休み時間しか利用されていないこの教室にまさか生徒がいるわけもない。
あたしと春人だけの空間。
シンと静まった空気がなんだかすごく重くて、あたしはジッとキレイな木目の床を見つめることしかできない。
「詩乃ちゃん。」
先に口を開いたのは春人。
「本当に誤解なんだ…。」
「…体育館の裏の?」
「そう…。」
さっきあたしが見たのが誤解?
…まさか。
あたしはしっかり見たもの。
あれはどう見たって…キス。
「…良いよ、今更驚かない。」
春人が女好きなのなんて、最初から分かってた。
それを今になった文句つけるなんておかしいもの。
「だから違うんだ。」
違う…。
二度も否定する春人。
「じゃあ…なに?」
春人の言葉よりも自分が見たほうを信じてしまうあたしは…ひどいかな?
それでもやっぱり、見たものは見たんだよ。
どうしろって言うの?
「俺、本当に女の子とは全部切れてる。」
いや、違う。
そう言って春人が言葉にしたのは
「今日、全員切れたんだ。」