彼と私と隣の彼
何度も受けるそのキスにあたしは酔いしれる。
唇が離れた後もボーっと、思考がまるでついていかず息を整えるだけで精一杯。
「今みたいのも初めて?」
「…当たり前でしょ?」
春人に寄りかかるようにしてあたしはキュッと掴んだYシャツを離す。
「ちょっとがっつきすぎた…ごめん。」
少しだけ苦笑した春人にあたしは、
「良いよ…。」
余計なことは何も考えられない。
今は春人のことで頭がいっぱいだ。
「詩乃ちゃん、こんなことした後に言うのもあれだけど…。」
「ん?」
「俺と付き合って…?」
あまりにも唐突、いや、むしろいまさら?
な言葉にあたしも噴出してしまった。
そんな改めて言うことでもないのに…
ていうか、キスした後だし。
「俺、本気で好きだから。」
もう、春人からも自分からも逃げたりしない。
今まで隠してた分の気持ちはたっぷり返していこう。
先輩を好きだと言って誤魔化していた気持ちも全部。
もう、春人を傷つけない。
ここから、またはじめるんだ。
新しく、春人との新しい関係を。
「そんなのとっくに知ってるよ…。」
本当にあたしが好きだったのは、入学式で一目ぼれした先輩なんかじゃない。
同じクラスの女好きで調子者でみんなの人気者。
そう、隣の彼。
東原春人でした。
「好きだよ、春人…。」
END
おまけ⇒