凛と咲く、徒花 ━幕末奇譚━
夢現つ

―幕末、青年―





狂ったように美しい満月を背景に、

ひらり、ひらり。

舞い落ちる桜。



大きな桜の木の下に一人の少女が蹲っていた。

顔を両手で覆っている。泣いているのだろうか。



『…もう、生きたくない……』



その口から哀しい呟きが漏れ―――




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