真実の奥に。
トントン


何故今あたしがさっきの子に続けて階段を昇っているのか



それは今さっきの女の子があたしのクラスメイトだったからということと、


ごめんなさいと言った彼女の声が涙声だったからだ






そのクラスメイトというのは・・・そう、沙羅だった


そのころはまだそこまで仲は良くなかった

でも、彼女を1人にしておけない

きっと1人で、屋上で、泣くのだろうか




「沙羅・・・ちゃんだよね?」

びっくりしたように勢いよく振り向かれた顔は、涙でぐしょぐしょになっていた


「あ・・・わっ・・・」

自分が泣いていたことを思い出したのか、制服でゴシゴシと顔を拭きだした


「制服が汚れちゃうよ。はい、どうぞ。」


青と白の水玉模様のハンカチを差し出した



彼女は、ハンカチを5秒ほど見つめ、お礼を言いながら遠慮がちにそれを受け取った


透明な雫を拭き取る仕草を見ながら、

彼女が泣いていた理由を聞くかどうか迷っていた




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