真実の奥に。
「あ・・・」


急な温度差に戸惑ったあたしにも関わらず、



「ちょっと手伝ってほしいんだけど」

八木の手にはなにやら資料が山積みになっている



あたしは隣の沙羅に目を向けた

「えっと・・・」

「じゃあ、あたし先に戻ってるね」


あたしが言おうとしたことを先読みし、

沙羅はたたっと小走りで姿を消してしまった




「なんか悪ぃな、邪魔しちまって」

沙羅が通った廊下を見つめていたあたしに

八木はそう言った



「ああ、ううん、平気。それ、何?」

沙羅が気になって仕方がなかったけれど、それを八木に悟られないように話をそらした


八木は自分の手元の資料を一見し、


「ん、これ、修学旅行の希望アンケートだよ」


ああ。そういえば、今朝配られて、

北海道、関東、関西の中から行きたいところを書いたんだった



ちなみにあたしは北海道にした

だって、滅多に行く機会なんてないでしょ?





< 62 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop