真実の奥に。
目を開けると、私は保健室のベッドに横たわっていた




むくりと起き上がると、ズクっと頭が痛んだ







「あら、良かった。起きたのね。具合はどう?」


40代後半であろう、温かい人柄であるのが一目でわかる先生






「少し頭が痛みますけど、それだけです」





私の言葉に先生がふわりと笑う


「倒れたときの衝撃でしょうね。たんこぶはできてなかったみたいよ」





そう言われてふと頭を触ってみたが、それらしきものはない。




あ、そうそう  と、思い出したように先生が言う


「さっき、男の子があなたの様子を見に来たわよ」


「え?」

誰だろう?


・・・・聡太君かな。


「新橋君ですか?」

そう言うと、先生はえっ と声を上げた


「違うわ。あの、サッカー部の子でしょ?あの子は、あなたが倒れたときに、他の先生を呼んだ子よ。

そうじゃなくて、ちょっと髪の色が派手な子だったわ

名前を聞く前に、あなたの具合を私に聞いたら、すぐ帰って行ってしまったの」



私好みじゃないけどね、と冗談めかしく先生が笑った






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