瑠璃色の華
第三章

鬼の副長

「ほらよ。」

そう言って蓮の目の前に出されたのは土方の手。

「はい?」

蓮はその手を不思議そうに見ていたが土方の言葉を思い出した。

「そうでしたね、私は目が見えないのでした。」

そう言って土方の手に自分の手を重ねて、どこにも焦点を合わさず周りの景色が見えないふりをする。

「ゆっくりでいいからな。」

土方の言葉に頷き、歩き出す。

ゆっくり、ゆっくり。

「転ぶなよ。」

馬鹿にするような声音で言う土方の足を思い切り踏みつけた。

「いっ!!」
たぁー。と言う土方に蓮は「申し訳ございませんでした。何せ見えないものでございますから…。」

と少しも申し訳なさそうに思ってない顔で言った。
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