瑠璃色の華
「秘密ですわ。」

人差し指を唇に当てて怪しく微笑んだ紅に山崎はドキッとした。

「女は秘密を持ってこその女ですもの。それを探ろうだなんて野暮ですわよ?」
クスクスと紅は笑ったが目は少しも笑っていなかった。

「それでも、調べるのが監察の仕事やってん。」

部屋の前に着いた山崎は障子を開けて中に入る。

紅もそれに続いた。

「さて。」

そう言って山崎は棚の中からクナイを一本取り出した。

「お前、自分の獲物なんか持っとるか?」

「武器でございますか?」

言った瞬間紅の視界に天井が広がった。

「あぁ。武器や。自分の身は自分で守らんと。」

紅の上に跨っている山崎はその細く白い首筋にクナイを突き付けた。
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