花とアイドル☆《完》
朱鷺田さんは相変わらずのクール
な無表情でジッと花乃を見つめて
いて、それだけでかなりの威圧感
だし。


自分の気持ちをうまく伝えたい、
と思えば思うほど、焦ってしまう
し。


――でも、ちゃんと伝えなきゃ。

あたしが、あたしの言葉で、
朱鷺田さんに……。


「だから、あの、色々考えたん
ですけど……やっぱり、ここを
出て行きたくはありません。


あたし、拓斗クンや朱鷺田さんを
困らせたりしないように、すごく
気をつけます!

だから、ここに住むことを、
認めてください!」


一気に言い切ってから、花乃は
ペコッと頭を下げた。


しばらく沈黙が流れる。


花乃はそのままの姿勢でギュッと
目を閉じて、朱鷺田さんの言葉を
待った。
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