花とアイドル☆《完》
やがて。


上のほうから、いつもの無感情で
冷静な――でもほんの少しだけ、
やわらかい声が、おりてくる。


「愛香さんにもお話したとおり
です。

これ以上、あなたに何か言う
つもりもありませんよ」


「朱鷺田さん……」


花乃が顔を上げると、朱鷺田さん
はわずかに目元を緩め、


「もとより、私個人の言葉で、
簡単にあなたを動かせるとも
思っていませんでしたし。

あわよくば何かいい方法を考えて
頂ければ、と期待していなかった
わけではありませんが。

まあ、注意喚起ができれば充分だ
と、それくらいのつもりでした」


「……あたしがどんくさそう
だから、心配させちゃったんです
よね……。

ホントごめんなさい」
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