卒業〜君のとなり〜
「ちょっと麻衣。鶴田に名札とか第二ボタンの予約した?」
掃除の時間、
朱里が箒を持って私に擦り寄った。
「んーん。してない…」
「バカ!鶴田、後輩に人気だし全部持ってかれるよ?」
「うん…、そうだよね」
そう…
鶴田は後輩にすごく人気がある。
気さくなキャラだから、近寄りやすいんだろう。
後輩だけじゃない。
鶴田の周りにはいつも人が集まる。
なんていうか、太陽みたいな。
なんて、大袈裟かな?
朱里がさらに迫ってくる。
「一生思い出になるから、絶対もらわなきゃ」
「でも……」
「あ、ほら。今、鶴田一人じゃん。行ってこいっ!」
朱里に背中を押されて、私は音楽室の後ろのドアの所で外を見ている鶴田の元へ歩み寄った。