恋して☆くまさん
都内某所、住宅展示場にて
土日はいつも、朝7時に家を出る。
バスと電車を乗り継いで1時間と15分。
到着したのは住宅展示場――僕のアルバイト先である。
「おはようございます」
「やぁ、田中くん。おはよう。今日も良い天気だね。」
いつものように警備員の桜庭さん(52歳)へ挨拶し、事務所の2階へと向かう。
2階は社員とアルバイトの専用フロアで、電車の改札機のようなものに身分証を通さなければ入れない仕組みだ。
そしてこれが、タイムカードの役割も果たすのである。
僕はトイレで用を足してから、ロッカールームでユニフォームに着替えた。
ユニフォームを着ると、なんだか気が引き締まるから不思議だ。
――さあ、今日もがんばろう。