恋して☆くまさん

「おはようございます」

すれ違う人に挨拶をしながら、カンファレンス ルームへと移動する。

時々、僕を見て驚いた顔をする人もいるが、気にしない。



――まあ、僕のユニフォームだけ周りの人とは違うから、しょうがないことだもんな――


そんなことを思いながら、


――コンコン

「失礼します」

カンファレンス ルームの扉をノックし、中に入ると、既に5人の人たちがいた。
そのうちの4人は見知った人たちだ。

「おぉ、入れ入れ」

最初に声をかけてきたのは山根さん。
先月40歳になったばかりの、ベテラン マネージャーだ。

「今日もデカいな」

次に声をかけてきたのは社員の山内さん。
マネージャーの山根さんと同期で、自称<ヤマヤマーズ>らしい。

「やっほ!今日もユニフォーム似合ってるわよ」

同じく社員の百合子さん。
もうすぐ三十路を迎える百合子さんは、名字で呼ばれるのが嫌いらしい。知り合って最初の頃「山田さん」と名字で呼んだら、3日間 口をきいてもらえなかった。
なんでも、ヤマヤマーズに仲間入りするのは勘弁!とのこと。

「…おはようございます」
バイト仲間の阿部くんは、まだ18歳の大学1年生なのに、落ち着いていて独特の雰囲気を持つメガネ男子だ。
21歳 大学3年生の僕よりもしっかりしていて、時々羨ましく感じる。


そして――もう1人。



        ………誰?

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