夏雨シロップ。



手も、足も、

気づけば体中の自由が奪われていて動くことができない。


痛い、けど...幸せの瞬間。


「...俺も...」


ちゃんと気持ちを伝えられたはずなのに
田辺くんは何故かいつもより、弱々しい声で。


しかし、また力を強められ、胸の中でじっとしてれば

私の腕に一つの雫が落ちた。



「...ふふ
室内なのに、雨?」


「ーーッ!」



私の言葉に
びくっと体が反応したかと思うと
ぎゅうっと無言で、腕の中に閉じ込められた。




< 25 / 29 >

この作品をシェア

pagetop