君に愛の唄を
私の方はギリギリ食器がシンクに落ちたから割れなかったけど、
蓮は地べたに落としたみたいで…
私は割れた食器に手を伸ばした。
「──触んな!」
蓮の大きい声は私の体を跳ねさせた。
「心菜の綺麗な手に傷がつくからな…」
蓮……
蓮の小さな心遣いが私のハートをキュンとさせた。
疼き出す心。
目が蓮から離れない。
「心菜ちゃん、こっちおいで」
私は奈々さんの近くに寄った。
「ああゆうのは男に任せるのが一番だからね。ほら蓮くん出てるよ」
私は視線をテレビに移した。
髪の色が黒から栗色になっていて
眼鏡もかけてなくて
クールな笑顔で笑う
蓮がいた。
この人、私の彼氏なんだ…
今さらのごとく納得した。
有名な歌番組。
その番組に蓮が出てる。