君に愛の唄を


「嘘…」



そう言って最初こそ驚いたが、すぐに私はまた自然に笑顔になった。



陸…



そこには、眠たそうに頭をかきながら車の窓から私に手を振っている陸の姿があったから。



欠伸してるし…


ちょっと早すぎたかなぁ?



私は陸に手を振りかえしたあと窓を勢いよく閉め、家も勢いよく出る。



「陸!!おっはよー!」


「心菜は朝っぱらから元気だな…はは」



陸は車から降りてくるとそう言った。


朝弱いのかな…



「さてと、じゃあ早速俺ん家にでも行く?」


「うん!」



なんだかさっきからテンションが異様に高いような気がする…



まぁ、好きな人と一緒にいるんだし…当たり前か。



「さ、どうぞお姫様」



陸は助手席のドアを開けてくれると私をお姫様だと言った。



「ふふっお姫様になった気分」



私は、わざとお姫様らしく振る舞ってみた。



目線を下にして…


二の腕を脇腹につけてひじを曲げる…


足は一直線を描くようにに踏み出す…




お姫様って確かこんなかんじだったよね?



勝手なイメージだけど…

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