街で君の唄を聞いた

まぁ、ホントにそうなるなら、ちょっとやってみたいかも。
という好奇心の方が勝ってしまった。


結局染める羽目に…。




「はーい。あと乾かすだけだからジッとしててね」

「は!?もう!?」

「ボーッとしすぎでしょ〜。何?好きな人の事でも考えてた?」

「考えてる方がキモいです」




にしても ジッとするなんてあたしらしくないからな〜。
動きたいー…。

むぅ…。



「あ、ドライヤーで乾かせないんですか?」

「え?何?ドライヤーて」




しまった。
この世界には無いのか。
そりゃ不思議に思うわ。



無いなんて不便じゃないのかな。
ま、あたしは使わないからいいんだけど。
別に自然に乾くじゃん。
電気代をそれだけの為に増やしたくないし。





「んー…。うん。もう大丈夫だわ。水色、似合うよ」

「キレーな水色ですね…」

「天然性と人工的に作られた物の差は激しいからね。天然性はツヤツヤしてるのよ」

「はー…」




これがあたしなのか、と思うと、ホントに別人。




鏡にいるのは、この世界の、もう1人の自分。




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