街で君の唄を聞いた

「ほらほら。そんなダラッダラ歩かないで、シャキッと歩く!」

「うぃーす」




結局最後までヨロヨロ歩いたあたしは、ボスッとだらしなく座る。
何だろう。今日無駄に体力使ってないか?
これ絶対気のせいじゃない。
まずレイとこの方、ハルデさんにもう疲れた。
というよりかここ来た時からもう疲れた。



「よーし。そんじゃまず髪の毛洗うね」

「あぁ、はい」



美容院とかそうゆうとこって、シャンプー気持ちいんだよね…。
思わず寝そうになったことあるし。
やばいって。あれもうゴットハンドだよ。



「おーい。レイヒちゃーん」

「…ッハ!?」

「寝てたね。そのうちに終わったけど?」

「ええええぇぇぇぇぇぇ!?」



恐 る べ し 。 神 の 手 。



「んじゃ、綺麗な髪の毛切っちゃうね」

「綺麗な、は一言余計です」

「あら?本当のこと言ってるだけだけど?」

「…貴女の方が綺麗です」(ボソッ



シャキ…パサ…。

シャキ…パサ…。



二つの音の繰り返し。
あとはちょっとした周りの話し声。

髪の毛、切られてるんだなーって横に落ちてる髪を見ると思う。


―――伸ばした意味、あんま無かったかも。

中3の時からずっと伸ばしてたから、ずっと切ってなかった。
だって今日なんて日本だと夏だったし。
もう夏の中の夏。正しく真夏だよ。



「あぁ、そうだ。ちょっと染めてもいい?」

「え、でも頭、というか脳に影響あるって聞いてあんま染めたくないです」

「大丈夫大丈夫!超が何個もついていいくらいの天然性だから!染めても何の影響もないよ!頭が痛くなっただとか、髪の毛痛んだだとか、そんな情報一切なかったから!」



無理にでも押し通す気か。




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