花の魔女
ナーベルとフィオーレは家に戻ると、ジェイクにアナベラと会ったことを話し、事情を説明した。
ジェイクも館に行くのは賛成なようで、三人ですぐに準備に取りかかった。
もともとここにあるものも少ないので、準備は割合早く終わった。
そして夜明けには村に向かい、アナベラと共に馬車で村を発ったのだった。
馬車に揺られながら、ナーベルはぼんやりと窓の外を眺めていた。
膝の上にあるのは、出発間際に母が渡してくれた淡い色合いの包みにくるまれてカゴに入ったパン。
焼きたてであたたかだったそれも、今ではもう冷めてしまっている。