花の魔女
ジェイクはフィオーレと目があうと、ハイハイ、といった様子で面倒そうに立ち上がった。
「ナーベル様、今からもうひとつ、花の魔法の力をお見せしますわ。よくご覧になっていてくださいませね」
ナーベルは頷き、二人から少し距離をとったところに立った。
ジェイクとフィオーレは向かい合い、対峙している。
「思いっきり黒いのをお願いしますわ、ジェイク」
「ああ。お望みなら、日ごろの憂さをここで全部晴らしてやってもいい」
「ふふ…、ではお願いします」
ジェイクとフィオーレのやり取りを聞きながら、ナーベルはだんだん不安になった。
どうやらジェイクは本気でフィオーレに向かっていくつもりらしい。
そんなことをしてしまっては、フィオーレが危ないではないか。
ナーベルはあわててジェイクに手を振った。
「待って!ジェ……」