花の魔女
古びた塔の階段を駆け上る。
一歩、塔に入った瞬間から、塔に蔓延る禍々しい気配に気分が悪くなった。
なんとも言えない気持ちの悪さに耐えながら一番上にたどり着き、木でできた扉を壊すつもりで勢いよく開けた。
嫌な気配が一層増し、うっと額を押さえたところで、足元に転がっているものを見て血の気が引いた。
「ジェイク!フィオーレ!」
ジェイクをフィオーレが、傷だらけで倒れていた。
ナーベルはすぐ近くに横たわっていたジェイクに駆け寄り、そっと体に手を触れた。
生きていることがわかり、ほっとしていると、ジェイクは小さく呻いて目を開けた。
ナーベルがジェイクの手を握ると、気づいたジェイクは弱々しく口を開いた。
「すまねえ、やっぱり闇の力は強力でさ…」
「しゃべらないで…」
ナーベルは今にも力尽きてしまいそうなジェイクの様子に、涙を浮かべた。
いつも勝気な彼がこんなに弱っているのを見るのは初めてだ。