花の魔女
「ナーベル様…」
フィオーレの小さな声が聞こえてきて、ナーベルは急いでフィオーレのもとへ寄った。
フィオーレはナーベルの顔を見ると、ごめんなさい、と言って目を閉じてしまった。
どうして、花の精霊であるフィオーレが…
まさか、花の力ですら太刀打ちできなかったのだろうか。
敵は一体、どこに?
敵の姿を探してナーベルが部屋を見渡すと、暗い部屋の片隅に、人影と、ゆらりと揺れる黒い気配を感じた。
目を凝らして見ると、そこに立っていたのは一人の少女だった。
ナーベルは驚きに目を見開いた。
「まさかあなたが…、闇の精霊?」
ナーベルが尋ねると、少女はこくりと頷いた。
信じられない思いで、ナーベルは少女をまじまじとみつめた。
とても闇の精霊とは思えない、小柄な体つきの可憐な少女だ。
闇の精霊だというから、もっと悪意の塊のような姿をしているのかと思ったのに…