花の魔女
「そう。俺も魔法使い見習い…。もっとも、俺は君らのように生ぬるい自然の力~みたいなのは欲してないけどね」
シルヴァンの指先がナーベルの腕をゆっくりとなぞり、ナーベルは体をこわばらせた。
そんなナーベルを見てシルヴァンは薄く笑みを浮かべていたが、急に真顔になってナーベルの頭を両手で掴んだ。
「君を花嫁に所望する。そして殺す」
シルヴァンの言葉にナーベルが大きく目を見開いたとき、シルヴァンが荒々しく唇を重ねてきた。
ナーベルは声を上げることも抵抗することもできないまま、シルヴァンの一方的な口づけを受け、腰をなぞる手に目を固く瞑って耐えた。
しかしその手が胸に触れたとき、必死の思いで彼の唇を噛んだ。
血の味が口の中に広がる。
唇を噛まれたシルヴァンははっとしてナーベルから離れ、血の滲んだ唇を手の甲で拭い、震えるナーベルを見てにっと口角をあげた。