花の魔女
(王子ですって!?)
「どういうつもりなの?私を、こんなところに閉じ込めたりして!」
シルヴァンは睨みつけてくるナーベルを見て、けらけらと笑った。
仮面をつけていたときとは、声も、話し方も別人のように違う。
「さすがは魔女、気の強い女だね。いいよ、教えてやろう」
そう言って、シルヴァンはすっと手を持ち上げ、人差し指をナーベルに向けた。
「きゃ…!」
何をする気だろうと身構えた途端、ナーベルの腕が勝手に高く持ち上がり、そのまま壁に張り付けられた。
上半身が、ぴくりとも動かせない。
これは、まさか。
「も、もしかして…あなたも魔法を…」
シルヴァンは動けないままでいるナーベルに近づき、ナーベルの顔の横に両手をついた。