花の魔女
ナーベルは足下に落ちていたメタセコイアの葉を拾い上げ、指で触れた。
モミに似た感じのこの緑色の葉が、いつか紅く染まるのだ。
「あ、あったあった。ナーベル、こっちにおいで」
ナーベルがメタセコイアを見ているうちにラディアンはちょっと先に行っていて、茂みの中に手を突っ込んでいる。
何かしらと思いながらラディアンのもとへ行くと、ラディアンは何かを差し出してきた。
「あっ」
ラディアンが手に持っているのはピンク色の、葉が何枚もついたコスモスに似た花だった。
可愛い……
そう思いながら花を見つめていると、
「ナーベル」
同時にラディアンの手が伸びてきて、ナーベルは戸惑って動けなかった。
ラディアンはナーベルの髪を耳にかけて、そこに花を飾った。
「ナーベルによく似合う」
微笑んで見つめてくるラディアンに、ナーベルは頭の隅で何かが重なるのを感じた。