花の魔女

その声に、ドキリとして振り返った。


ラディアンが摘んできた薬草をカゴに入れて戻ってきたのだ。


ラディアンを見てフィオーレはふわりと笑った。


「ラディアン様、お久しぶりでございます。大きくなられましたわね」


フィオーレの、まるで久しぶりに会った親戚が言うような物言いに、ナーベルは首を傾げた。

それに気づいたジェイクが、すかさず助け船を出した。


「ラディアンと俺たちは、ラディアンが小さい頃からの知り合いなんだ」


「本当に、あの頃のラディアン様は可愛いらしくて」


フィオーレがうっとりとした表情で付け足す。


やっぱり、魔法使いのお父様がいらっしゃると、小さい頃から精霊に会う機会もあるのね、とナーベルはただうらやんだ。


ラディアンはそんな3人に苦笑いをし、薬草を仕分けしに家の中へ戻ろうとした。

ナーベルは家に戻ろうとするラディアンを目で追って、気づくとドアに手をかけようとしたラディアンの服の裾を掴んでしまっていた。


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