花の魔女
驚いたラディアンが目を丸くしてナーベルを見下ろした。
ナーベルも自分は一体何をしているんだろうとあわてて手を離し、赤くなっていく頬を隠すようにうつむいてしまった。
「あ……あの、私……」
おろおろするナーベルを見て、ジェイクとフィオーレは目をあわせて頷きあった。
顔に微笑みを浮かべて。
「ラディアン様、薬草の仕分けはわたくしたちがやっておきますわ」
「えっ、でも……」
「お前はこいつの修行に付き合ってやれ。俺たちは二人でいたいんだ」
そう言って、ジェイクは呆然としているラディアンの手からカゴを取り上げたフィオーレの肩を抱いて、さっさと家に入っていってしまった。
「………」
「………」
残された二人は、どうすることもできず立ち尽くしていた。
(ど、どうしよう……。引きとめてしまったんだわ)